与謝蕪村筆「四季行事風俗図(春夏)」第6扇
与謝蕪村筆「四季行事風俗図(春夏)」第2扇
冨田鋼一郎
「初午祭図」
浪華長堤四明山人画 朱文方印「〇〇山人」 朱文方印「淀水」
初午は、稲荷神社で五穀豊穣を祈る神事。子どもらにとっては年の初めの楽しみの行事である。やっと春らしく柔らかくなった日差しの中、芥子坊主の子がお囃子太鼓をたたき、おかっぱの娘が笛を吹き、もう一人の女児が両手に何か持って踊っている。後ろ姿で座っている小児が手にしているのは絵馬だろう。狐の仮面をかぶって踊っている子もいる。日常を離れ、心を開放する大事な時間である。遠方の村はずれには、大きな薄紅の鳥居と一叢の杉林が見える。あちこちの藍と朱の淡彩が目に心地よい。
初午やその家々の袖だゝみ 蕪村
初午やものだね売りに日のあたる 蕪村
初午の日には、どこの家でも身なりを整えて出かける。それぞれの家なりの勝手な流儀の袖畳みの跡がついていて、いかにも庶民の祭りらしい。稲荷神社は参詣の人々で大賑わい。その喧噪をよそに、作物の種などを売る露店には春のうららかな日が差している。ざわめきやら呼び声やら、余白あるため想像力を引き立てる。
「四季行事風俗図(春夏)」六点の詳細は、著書『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2018年)を参照ください。
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なお、「四季行事風俗図(春夏)」六点は、2020年9月8日の「開運!なんでも鑑定団」で放映されました。
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与謝蕪村(よさ ぶそん1716-1783)
18世紀日本を代表する画・俳の巨匠。
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