読書逍遥

読書逍遥第197回 『細胞』(上・下) (その15)ジッダールタ・ムカジー著

冨田鋼一郎

『細胞』(上・下) (その15)ジッダールタ・ムカジー著

副題 生命と医療の本質を探る
原題 The Song of the Cell
An Exploration of Medicine and the New Human

ムカジーは「死」についてうまい比喩で語っていた

「人は、衰退と若返りの力の相対的バランスによって説明できる。死亡とは、強風にあおられたミサゴが、もはや空中にとどまれなくなるよう」なものという

「損傷と修復」「衰退と若返り」の絶え間ない闘いのなかで絶妙に保たれている空中ホバリング、それが生きている状態だ。

蕪村が270年前に描いた「燕とハイビスカス」の絵を思い出す。

その燕が生き生きしてみえる謎がわかった。空中ホバリングをしているからだ。まるで今日まで270年もの間、飛び続けてきた(これからも)かのようだ。

これこそが生きていることの証しではないか。 

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ABOUT ME
冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
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