読書逍遥第309回『文明の主役 エネルギーと人間の物語』(その7) 森本哲郎著 2000年発行
冨田鋼一郎
有秋小春
副題 生命と医療の本質を探る
原題 The Song of the Cell
An Exploration of Medicine and the New Human
「細胞の歌」
私たちは細胞や細胞システムの名前を挙げることはできるが、細胞生物学の「歌」はまだ学んでいない
私たちの課題
・細胞
・器官(腎臓、心臓、肺など)
・細胞システム(免疫細胞、神経細胞など)
レーウェンフック
独立した単一の生きたブロックの集合体として身体をとらえた
ルドルフ・ウィルヒョウ
身体を「市民の集まるところ」ととらえ、細胞病理学の礎を築いた
アミタブ・ゴーシュ近著『ナツメグの呪い』
熱帯雨林での青年の言葉
「俺は木の名前は覚えたが、まだ歌は学んでいません」
細胞の相互関連性についての理解がまだ道半ばである
疑問 たとえば
○なぜ肝臓と脾臓はほぼ同じ大きさで解剖学的にも近い位置にあり、実質上、血流を共有しているにもかかわらず、片方(肝臓)はがんが最も転移しやすい器官のひとつなのに対し、もう一方(脾臓)にはがんがめったに転移しない 何故か?
○パーキンソン病の患者のがんの罹患率が極端に低いのはなぜだろう?
本書を終えるにあたり、20世紀の科学における最も深遠な哲学的資産と、その限界について考える時が来た。