読書逍遥

読書逍遥第173回 『ジョン万次郎 海を渡ったサムライ』マーギー・プロイス著

冨田鋼一郎

『ジョン万次郎 海を渡ったサムライ』マーギー・プロイス著

『ジョン万次郎』 
ストーリーで楽しむ伝記4
金原瑞人著

江戸幕末期から明治にかけて日本人として波乱に満ちた人生を辿ったジョン万次郎(1827-1898)。

1841年、14歳のジョンが乗り込んだ漁船が南鳥島沖で難波し、米捕鯨船に助けられた事実。くしくも渡辺崋山が自刃した年にあたる。

当時、北米東沿岸のニューイングランドから南米突端を回ってまで鯨油を求めて太平洋側まで捕鯨船が来ていた事実。

1849年、ジョン・マンがゴールドラッシュに湧くカルフォルニア炭坑で3ヶ月働いた事実。

1850年、ハワイに残っていた漁船仲間と日本へ出発した事実。

1852年、琉球、長崎を経て土佐へ帰国。吉田東洋による70日に及ぶ取り調べを受けた事実。

1853年、幕府により江戸へ招聘された事実。

1860年、勝海舟艦長の咸臨丸に通訳として乗り込んだ事実。

1869年(明治2)、明治政府により開成学校教授に任命された事実。

19世紀のアメリカと明治日本の社会の理解を深めるためにも興味深い人物である。

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ABOUT ME
冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
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