読書逍遥第103回 『俳諧随筆 蕉門の人々』柴田宵曲著
冨田鋼一郎
有秋小春
『ジョン万次郎』
ストーリーで楽しむ伝記4
金原瑞人著
江戸幕末期から明治にかけて日本人として波乱に満ちた人生を辿ったジョン万次郎(1827-1898)。
1841年、14歳のジョンが乗り込んだ漁船が南鳥島沖で難波し、米捕鯨船に助けられた事実。くしくも渡辺崋山が自刃した年にあたる。
当時、北米東沿岸のニューイングランドから南米突端を回ってまで鯨油を求めて太平洋側まで捕鯨船が来ていた事実。
1849年、ジョン・マンがゴールドラッシュに湧くカルフォルニア炭坑で3ヶ月働いた事実。
1850年、ハワイに残っていた漁船仲間と日本へ出発した事実。
1852年、琉球、長崎を経て土佐へ帰国。吉田東洋による70日に及ぶ取り調べを受けた事実。
1853年、幕府により江戸へ招聘された事実。
1860年、勝海舟艦長の咸臨丸に通訳として乗り込んだ事実。
1869年(明治2)、明治政府により開成学校教授に任命された事実。
19世紀のアメリカと明治日本の社会の理解を深めるためにも興味深い人物である。