読書逍遥

第22回『徒然草』島内裕子著

冨田鋼一郎

『徒然草』島内裕子著

兼好(1283頃-1352頃)鎌倉時代末期の歌人。

副題:世の中の秋田刈るまでなりぬれば
    露もわが身も置きどころなし

長く「徒然草」に接してきた著者の集大成とも言うべき労作。「徒然草」と300首に満たない和歌を見渡して、その結び目に垣間見えてくる人間兼好に迫る試み。みずからの言葉の力によって自身の精神を変化・成長させてゆく跡をたどる。

特に、「徒然草連続読み」による第四章「青春の兼好」、兼好の捉えた3態の時間認識を扱った第5章「批評家誕生」、第6章「兼好のゆくえ」は読み応えがある。

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ABOUT ME
冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
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