第89回『気候変動と環境危機 いま私たちにできること』'The Climate Book'グレタ・トゥーンベリ編著
冨田鋼一郎
有秋小春
本棚に50年も飾ってあったこの本を再び手にする。
「現代社会の正体を知りたい」。
彼の問題意識と思索の過程は、今なおみずみずしさを保っていることに驚く。
森本哲郎の著作は百冊近くにのぼる。
これからの余生も、森本哲郎さんとともに、あれこれと思索にふける贅沢な時間となることを願う。
「人間へのはるかな旅」とは、
人間の本質を求めて一段一段登り詰めてゆく、苦しい。しかし、やめようとしても、やめることのできない旅のこと。
(問題意識)
一体、自分が今こうやって生きている現代社会は、
・どんな社会なのだろうか
・これからどのように変わっていくのだろう
もし現代という時代に問題があるとすれば、
・何が最大の問題であり、
・どんな解答を与えたらいいのか
・現代社会がどんな具合に人間を変えつつあるのか
・人間らしさとは何か
・どうやって問題を探り出し、どんな具合に答えを発見すべきなのか?
このような作業は、どんなに困難であろうと、あくまで自分でやるべきことだ。解答は、人が与えてくれるものではなく、自分の手で導き出さねばならぬ。
(キーワード)
「社会の地質学」
「秩序なき価値」
「矛盾する調和と進歩の概念」
「生きるとは調和への志向力」
「知識が情報になり下がる(知識の変質)」
「知識の激増、情報化への対応」
「生産への知よりも消費の知・生産抑制の知」
「歴史は人間が変わらないということを学ぶためのもの」
「事実のハシゴと価値のハシゴ」
珍野苦沙弥先生(「吾輩は猫である』)
「とにかくこの勢いで文明が進んでいった日にや僕は生きているのは嫌だ」
ルネ・デュボス
「物品の潤沢、過度の慰安、コミュニケーション手段の多面化は、過去において食物の不足、苦痛に満ちた肉体労働、あるいは社会的隔離が生んだと同じ悲惨な状況を、現代社会にもたらしつつある」