読書逍遥第155回 『HORISONS 科学文明の起源』(その6 最後)ジェイムズ・ポスケット著
冨田鋼一郎
有秋小春
紀元4世紀から15世紀までの約1,000年にわたるヨーロッパ中世史は、日本の世界史の科目の中で欠落した部分だ。
文明開化に沸いた明治時代に江戸時代を「夜明け前」と捉えたように、ルネサンス、啓蒙の時代から見た中世は封建的な「闇」。
第一部「帝国」(410年頃-750年)
ローマ帝国の崩壊から、蛮族の侵攻、ビザンツ帝国、アラブ帝国の登場まで。
紀元370年が古代世界の終焉、中世の始まり。
この時代の世界は、地中海を中心とした世界。3枚の歴史地図で要約される。
・ローマ帝国とその広大な領土
・476年頃のヨーロッパと地中海
・750年頃までのアラブの大征服
(移動危機の玉突き連鎖)
ドナウ川、ライン川の領土周辺から動揺。
遊牧民フン族(匈奴)→ゴート族がヴォルガ川、ドナウ川を渡り、ローマ帝国領土に侵入。
いつの時代も国境管理は頭を悩ませてきた。
・誰を帝国に入れるか。
・どのくらいの期間どこに住まわせるか。
ビザンツ帝国、アラブ帝国(ウマイヤ朝)の席巻により、世界地図は大きく塗り替えられる。