読書逍遥第181回 『1492』 (その6)ジャック・アタリ著
冨田鋼一郎
有秋小春
副題 「働きすぎる種」ホモ・サピエンスの誕生
原題 WORK
A Deep History, from the Stone Age to the Age of Robots
人間は古来、働くということについてこだわり続けてきた。労働に意義を見出そうとする数々の考えがある。
漱石は、「道楽と職業」で、「道楽とは違う職業」について、根源的に自問した。
労働社会学者、玄田有史さんは、「働く事は悲しいけれど、人が働くことにこだわり続けるのは、永遠の自分探しであるということだから」とした。
本書は、働くことに価値を見出そうとすること自体が幻想かもしれない、とさらに先を行く。
諸科学の最近の知見をもとに論じるそのロジックはなんだろう?
これは精読するしかない。
☆☆☆
帯文より)
AI時代になってまで、私たちはなぜ「働くこと」にこだわるのか
仕事には時間の大半を費やす意義があり、人間の価値を決定し、人生の豊かさを左右する、、、それは幻想かもしれない。
経済学、社会人類学。物理学、進化生物学、動物学、、、様々な学問分野の最新の知見をもとに、「人と仕事」の深遠なる関係を縦横無尽に解き明かす
(帯文)
「働かない」事は悪なのか?
私たちが行っている仕事が人格となり、将来の展望を左右し、どこで誰と多くの時間を過ごすかを決定し、自分の価値を伝え、多くの価値観を形成し、政治的な姿勢を方向付ける。そのため私たちは努力する人を賞賛し、怠け者を非難し、万人の雇用と言う目標をあらゆる種類の政治家がマントラのように唱え続ける。