読書逍遥

読書逍遥第171回 『働き方全史』ジェームス・スーズマン著

冨田鋼一郎

『働き方全史』ジェームス・スーズマン著

副題 「働きすぎる種」ホモ・サピエンスの誕生

原題 WORK
A Deep History, from the Stone Age to the Age of Robots

人間は古来、働くということについてこだわり続けてきた。労働に意義を見出そうとする数々の考えがある。

漱石は、「道楽と職業」で、「道楽とは違う職業」について、根源的に自問した。

労働社会学者、玄田有史さんは、「働く事は悲しいけれど、人が働くことにこだわり続けるのは、永遠の自分探しであるということだから」とした。

本書は、働くことに価値を見出そうとすること自体が幻想かもしれない、とさらに先を行く。

諸科学の最近の知見をもとに論じるそのロジックはなんだろう?
これは精読するしかない。

☆☆☆
帯文より)

AI時代になってまで、私たちはなぜ「働くこと」にこだわるのか

仕事には時間の大半を費やす意義があり、人間の価値を決定し、人生の豊かさを左右する、、、それは幻想かもしれない。

経済学、社会人類学。物理学、進化生物学、動物学、、、様々な学問分野の最新の知見をもとに、「人と仕事」の深遠なる関係を縦横無尽に解き明かす

(帯文)
「働かない」事は悪なのか?

私たちが行っている仕事が人格となり、将来の展望を左右し、どこで誰と多くの時間を過ごすかを決定し、自分の価値を伝え、多くの価値観を形成し、政治的な姿勢を方向付ける。そのため私たちは努力する人を賞賛し、怠け者を非難し、万人の雇用と言う目標をあらゆる種類の政治家がマントラのように唱え続ける。

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ABOUT ME
冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
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