読書逍遥第316回『文明の主役 エネルギーと人間の物語』(その14) 森本哲郎 2000年発行
冨田鋼一郎
有秋小春
何もかも吸収して、インド化してしまう「ゼロ」の文明の国インド。底知れぬ魂の深さを持つ国。
グローバルサウスの盟主にのし上がる。
・オリュンポスの丘に「数多」の神が集うギリシャ、
・「唯一」の神しか認めないイスラム、
・宇宙を陰陽の「二元」思考で構築する中国、
・「三位」一体を説くヨーロッパのキリスト教文明、
・「八百万」(やおよろず)の神を崇める日本、
・「ゼロ」を発見したインド。
森本哲郎は『そして文明は歩む』で六つの文明の形をこのように表現した。
中国と同様に、インドは国内に多くの矛盾をかかえながらも大国として存在感を増してゆくだろう。
「歴史と地図」を合わせて眺めながら動体的にインド大陸を旅する。
表紙の「仏教のアジアへの伝播」だけでも情報満載。
15年前にチェンナイ、バンガロール、マドライの南部3都市を駆け足で回り、カルチャーショックを受けつつ、若い躍動を感じたことを思い出す。