読書逍遥第178回 『国境と人類』ジェームズ・クロフォード著
冨田鋼一郎
有秋小春
炭太祇(たんたいぎ1709-1771)
「天明・中興期」の俳人。蕪村の盟友。明和期には与謝蕪村の三菓社結成に参加した。
蕪村主宰の句会に参加。人事句を得意とし、蕪村の作風に大きな影響を与えた。
⭕️山路来て向ふ城下や凧の数
⭕️な折そと折てくれけり園の梅
⭕️ふらこゝの会釈こぼるゝや高みより
⭕️川の香やほのかに東風の渡りけり
⭕️ふり向けば灯ともす関や夕霞
⭕️春もやゝ遠目に白し梅の花
⭕️扨(さて)永き日の行方や老の坂
⭕️山吹や葉に花に葉に花に葉に
⭕️心程牡丹の撓む日数かな
⭕️幟立つ母なる遊女なりけらし
⭕️うつす手に光る蛍や指の股
⭕️橋落ちて人岸に在り夏の月
⭕️初恋や灯籠によする顔と顔
⭕️飛蛍あれと云はむもひとり哉
⭕️ひとり居や足の湯湧す秋の暮
⭕️空遠く声合わせ行小鳥かな
⭕️秋の暮自問自答の気の弱り
⭕️秋さびしおぼえたる句を皆申す
⭕️掃けるが終には掃かず落葉哉
⭕️寒き日の風にのり行童かな
⭕️うつくしき日和になりぬ雪の上