読書逍遥

読書逍遥第119回 『フランシス・クリック 遺伝暗号を発見した男』マット・リドレー著

冨田鋼一郎

『フランシス・クリック 遺伝暗号を発見した男』マット・リドレー著

知的生命の秘密解明に生涯を捧げた人の評伝。イギリスの知の巨人、マット・リドレーが書いた本。

「何かに取り憑かれたように話し、人なつこい天真爛漫さと活気にあふれ、アイデアが迸り出てくる」人。

37歳で、ジェームズ・ワトソン(25歳)とともに「DNA二重らせん構造」を発見したフランシス・クリック(1916-2004)。

その後も、「遺伝暗号」の解読、新しい分子生物学の分野樹立に貢献した。

「遺伝暗号」は、DNAからタンパク質を正確に作り出す役割を果たす。そして暗号は、地球上のすべての生物(動物も植物も)に存在し、すべての生物がただ一つの共通祖先にたどり着くことを教えている。

この 「遺伝暗号」は、二重らせんの発見よりも大きな科学的成果といえる。

生命と非生命の違いへの関心は、晩年の「意識」の探求へと続く。

クリックは対話と議論によって実験検証と理論を組み立てていった。それぞれ相応しい相手を得たことが幸運だった。

⭕️二重らせん ジェームズ・ワトソン
⭕️遺伝暗号  シドニー・ブレナー
⭕️意識    クリストフ・コッホ

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ABOUT ME
冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
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