第82回『こころの読書教室』河合隼雄
冨田鋼一郎
有秋小春
知的生命の秘密解明に生涯を捧げた人の評伝。イギリスの知の巨人、マット・リドレーが書いた本。
「何かに取り憑かれたように話し、人なつこい天真爛漫さと活気にあふれ、アイデアが迸り出てくる」人。
37歳で、ジェームズ・ワトソン(25歳)とともに「DNA二重らせん構造」を発見したフランシス・クリック(1916-2004)。
その後も、「遺伝暗号」の解読、新しい分子生物学の分野樹立に貢献した。
「遺伝暗号」は、DNAからタンパク質を正確に作り出す役割を果たす。そして暗号は、地球上のすべての生物(動物も植物も)に存在し、すべての生物がただ一つの共通祖先にたどり着くことを教えている。
この 「遺伝暗号」は、二重らせんの発見よりも大きな科学的成果といえる。
生命と非生命の違いへの関心は、晩年の「意識」の探求へと続く。
クリックは対話と議論によって実験検証と理論を組み立てていった。それぞれ相応しい相手を得たことが幸運だった。
⭕️二重らせん ジェームズ・ワトソン
⭕️遺伝暗号 シドニー・ブレナー
⭕️意識 クリストフ・コッホ