読書逍遥

読書逍遥第241回 『フェルメールと天才科学者』(その2)

冨田鋼一郎

『フェルメールと天才科学者』(その2)

副題 17世紀オランダの「光と視覚」の革命

原題 Eye of the Beholder:
Johannes Vermeer, Antoni Van Leeuwenhoek, and the ReInvention of Seeing
ローラ・スナイダー著

17世紀は科学革命のはしりの時代
‘ものの見方’の大革命が起きた時代
これはおそらく現代のインターネット革命に匹敵する

レンズが取り持つ芸術家と科学者の合体

その中心人物が、フェルメール(1632-1675)とアントニ・フン・レーウェンフック(1632-1723)

・コペルニクス
・ケプラー
・ガリレオガリレイ
・アイザックニュートン

自ら自然を観察し、記録・描写し、測量するという知的好奇心が、新しい器具や装置の発明を促す

温度計、気圧計、空気ポンプ、振り子時計、望遠鏡、顕微鏡など

これらの発明品は、知らなかった奇妙な世界を白日のもとに晒し、科学は解き明かす手段として認識されていった

メガネから顕微鏡、望遠鏡へ進化

これまで視力の弱い人が正常の視覚で見えるものを見るためのものであったメガネ

それが、見えるもの以上のものを見るためのものに進化させたのが望遠鏡、顕微鏡

あまりに遠くで見えない、あまりに小さくて見えない、肉眼では見ることのできなかった世界を見ることができるようになった

視覚の拡大のもたらし、肉眼で見えない自然界の真実を目の前に見せることとなった

→当時と人々にとって、これは奇妙な説であり、ありえないこととして、疑問視し、眉唾ものだと受け止められた

ちょうどガリレオ・ガリレイの地動説がカトリック教会の教義に反するとして受け入れられなかったのと同じように

→世の中は見かけ通りではなく、我々の目にはよく見えない隠れた部分があることを積極的に受け入れる姿勢が重要であるという事

世界は見かけ通りのものではないと言う認識が急速な勢いで広まった時期

肉眼で観測する様々な現象の背後には、不可視の世界があるということに気づく

スポンサーリンク

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


ABOUT ME
冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
記事URLをコピーしました