読書逍遥第231回 『オホーツク街道』(その1) 街道をゆく38 司馬遼太郎著
冨田鋼一郎
有秋小春
第二部までの途中経過
原題:Future Stories What’s Next? 2022刊
1秒先から宇宙の終わりまでを見通すビッグ・クエスチョン。薄っぺらな未来論ではない。
宇宙開闢以来の「ビッグヒストリー」の提唱者の歴史家が、今度は遠い未来までの考察に挑んだ。歴史家の眼で、思想哲学や生物学、人類学、脳科学、心理学、経済学など諸科学の知見を踏まえて、未来を見据える意欲的で重厚な本だ。
出発点は、「時間」についての哲学的議論。時間の捉え方は二つあるという。
第二部では、「有機生命体」(細胞、動植物、人間)が目的志向性を持つことに着目し、未来を操つろうとする生命体に関する科学的知見を紹介する。動植物と細菌にまで視野を広げ、未来に備え・未来を想像しようとする人間について理解を深める。
本書の核となる部分は、最終の第三部「未来を想像する」。
著者の持てる宇宙観を披露するべく、諸科学から精一杯かき集めてきた。その意味では漱石さんが小説『吾輩は猫である』で自身を曝け出してくれたことと比較する。どちらが効果的だろう。
私は宇宙観・世界観・人間観を持っているのか。自分だったら、どのような話題をどのように組み立てるか。
最後のパート3は、「未来を想像する〜人間、天文学あるいは宇宙論」。
パート1 未来について考える
〜哲学者、科学者、生物はどのように考えているか
パート2 未来を操る
〜細菌、植物、動物はどのように未来を操るか
パート3 未来に備える
〜人間はどのように未来に備えるのか
パート4 未来を想像する
〜人間、天文学あるいは宇宙論