第20回『ケネディの道』セオドア・ソレンセン
冨田鋼一郎
有秋小春
すっきりとした目次が目を引く。
野路
冬鶯
与謝海
学校
宜風
灯影
茨野
胡蝶
牡丹
東山
雉子
芥子園
時雨
白梅
桃源
斜日
鴛鴦
これまでの幾多の蕪村評論のなかで、蕪村の魂に最も肉薄し得た本。このような章立てで蕪村句を縦横に(立体的に)論じたものを見たことがない。
著者は詩の第一級の鑑賞家である。蕪村を深く読み込んだ上で、「人間蕪村」に迫ろうとする。明解な言葉で語り尽くす。驚くべき力量だ。
私がブソニストになることができたのはこの本のおかげだ。初版は昭和44年。半世紀も前の本書を超えるものはまだ出ていない。
近世俳文学の専門家でない文筆家の手によるものであることが興味深い。文芸・美術の鑑賞にはなにも専門家である必要はないのだ。