読書逍遥第258回『図書館には人がいないほうがいい』(その4) 内田樹著
冨田鋼一郎
有秋小春
オホーツク街道とあるから、サハリン(樺太)の旅だと思ったら、日本国内の宗谷地方稚内、網走、知床と続く海岸沿いの街道の旅だった。
冒頭の「縄文の世」に人種の議論がある。
モンゴロイド、コーカソイド、ネグロイド
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いま脳裏に日本列島の浜辺を思い浮かべている。
冬、流氷のくるオホーツク海岸もあれば、春から初夏にかけて黄砂がやってくる東シナ海の浜辺もある。まことに北から南へながながと島々がつらなっている。
住民はアジア人である。 ただ、この島々の歴史は、12世紀末の鎌倉幕府このかた、他のアジアとは一味違う発展をしてきた。
670年余に及ぶ封建制の経験を持つことが、他のアジアと少し違っている。670余年の封建制の経験が、自分の所属する小さな団体に忠誠心を尽くすと言う文化を産んだ。
また特に江戸期の封建性によって、領民たちは、自分で物事を組織してビジネスをやると言う能力も身につけた。
よしあしや好悪は別にして、そのような日本史の結果が、いまの日本人になっている。
むろん、人種としては生粋の黄色人種(モンゴロイド)である
この人種は、遠いむかし、シベリアの寒地で出来上がって、寒地に適用するような形質をそなえた。
たとえば、白人種(コーカソイド)のようにまぶたが薄くなく、ぽってりと厚い。寒さから眼球をまもるためである。また、寒気が鼻孔から入っても鼻腔の奥を凍らせることがないように鼻を顔にめり込ませている。このため、顔が平べったくて鼻が低い。要するに、防寒型の顔である。
また目には蒙古襞があり、赤ちゃんのお尻には青い蒙古斑がある。