第79回『思考の技術論』鹿島茂
冨田鋼一郎
有秋小春
副題: 史上初めて北極へ旅した男
2023年6月刊行
大航海とあるので、16世紀の大航海時代の話かと思ったら、なんとはるか前の紀元前4世紀ギリシャ人[マッサリア(現マルセイユ)出身]による北極探検の話だった。
ユリウス・カエサルによるブリテン島探検は、その300年後の紀元前55年。
当時のギリシャ人の世界観は、見慣れた地中海から出ることはなかった。彼らの良く知っている地域は、地中海、黒海周辺、エジプトとメソポタミア河川だけ。
地中海世界は、自然の障壁であるバルカン山脈、アルプス山脈、セベンヌ山地(仏中央)、メセタ高原(イベリア半島)に囲まれて、その彼方にはギリシャ人よりはるかに遅れた文化を持たない野蛮人がいる。ギリシャ語を話せず、動物の鳴き声に似た音声で意思を伝達した(バルバドイ)。
ギリシャ人にとって世界の果てはアトラス山脈。ヘーラクレースの柱(ジブラルタル海峡)以遠は何も知らない。
[ツユクサ]
[ヒルガオ]