読書逍遥第162回 『はるかなる道』 1992刊森本哲郎著
冨田鋼一郎
有秋小春
最近、難民の話題が目につく
子どもの頃、「南北問題」という言葉を知った
今の地球は生きるに値しないと感じる人が何億といる
「南北問題」、そんな生温い言葉では伝わらない
先日は、ベラルーシとポーランドの難民押し付け合いの現場の映画『国境の境界』を観た
そして今日、映画「難民キャンプで暮らしてみたら」を観た
シリア難民が暮らすヨルダンの難民キャンプで二ヶ月滞在した二人のアメリカ人青年の体験記録
池澤直樹の本書はその続きにあたる
帯文)
ある日、難民になる。
「新しい故郷(ノイエ・ハイマート)」を求めて、歩き出す。
そんなに遠い世界の話ではないのです。
人を守る国境が人を疎外し、排除し、外に押し出し、どこでもないところへ行けとわめき立てる。
どこでもない所 nowhere
誰でもない人 nobody
否定形でしか定義されない存在
では、こう語る私は何者なのだろう?
あるいは、何者でないのだろう?