読書逍遥

読書逍遥第238回 『ノイエ・ハイマート』池澤直樹著

冨田鋼一郎

『ノイエ・ハイマート』池澤直樹著

最近、難民の話題が目につく

子どもの頃、「南北問題」という言葉を知った

今の地球は生きるに値しないと感じる人が何億といる

「南北問題」、そんな生温い言葉では伝わらない

先日は、ベラルーシとポーランドの難民押し付け合いの現場の映画『国境の境界』を観た

そして今日、映画「難民キャンプで暮らしてみたら」を観た

シリア難民が暮らすヨルダンの難民キャンプで二ヶ月滞在した二人のアメリカ人青年の体験記録

池澤直樹の本書はその続きにあたる

帯文)
ある日、難民になる。
「新しい故郷(ノイエ・ハイマート)」を求めて、歩き出す。
そんなに遠い世界の話ではないのです。

人を守る国境が人を疎外し、排除し、外に押し出し、どこでもないところへ行けとわめき立てる。
どこでもない所 nowhere
誰でもない人 nobody
否定形でしか定義されない存在

では、こう語る私は何者なのだろう?
あるいは、何者でないのだろう?

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ABOUT ME
冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
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