読書逍遥第250回『街道をゆく 中国・びんのみち』(その4) 司馬遼太郎著
冨田鋼一郎
有秋小春
司馬遼太郎の旅は、歴史を訪ねる旅でもある。地理と歴史は密接不可分。
アントワープ(ベルギー) とアムステルダム(オランダ)の関係について
アントワープは16世紀の世界経済中心地(グローバルハブ)
イギリス毛織物はアントワープから世界へ
スペイン香辛料はアントワープから世界へ
[スペイン隆盛と衰退]
スペインは新大陸を力で征服し、掠奪した黄金や銀をアントワープに持ち込み、毛織物など必要な商品を買った
自国で物を製造することをしなかったため(産業育成を怠る)、繁栄が去ると、荒れた農地だけとなった
さらに、国王フェリペ2世はカトリック教会の外護者(げごしゃ)の使命感を持ちすぎて、フランドルのプロテスタントを弾圧した
1568年オランダの大反乱、やがてスペインから独立へ
アントワープは逃げ遅れて、有力商人やユダヤ人たちはスペインの鎖をきらい、信仰の自由を求めてアムステルダムに大挙して移る
[アムステルダムの奇跡]
一漁村に過ぎなかったアムステルダムの街が、アントワープの地位を一挙に奪って、国際経済中心地になる