読書逍遥

読書逍遥第219回 読書逍遥 『オランダ紀行』(その8) 街道をゆく35 司馬遼太郎著

冨田鋼一郎

『オランダ紀行』(その8) 街道をゆく35 司馬遼太郎著

司馬遼太郎の旅は、歴史を訪ねる旅でもある。地理と歴史は密接不可分。

アントワープ(ベルギー) とアムステルダム(オランダ)の関係について

アントワープは16世紀の世界経済中心地(グローバルハブ)
イギリス毛織物はアントワープから世界へ
スペイン香辛料はアントワープから世界へ

[スペイン隆盛と衰退]
スペインは新大陸を力で征服し、掠奪した黄金や銀をアントワープに持ち込み、毛織物など必要な商品を買った
自国で物を製造することをしなかったため(産業育成を怠る)、繁栄が去ると、荒れた農地だけとなった

さらに、国王フェリペ2世はカトリック教会の外護者(げごしゃ)の使命感を持ちすぎて、フランドルのプロテスタントを弾圧した

1568年オランダの大反乱、やがてスペインから独立へ
アントワープは逃げ遅れて、有力商人やユダヤ人たちはスペインの鎖をきらい、信仰の自由を求めてアムステルダムに大挙して移る

[アムステルダムの奇跡]
一漁村に過ぎなかったアムステルダムの街が、アントワープの地位を一挙に奪って、国際経済中心地になる

スポンサーリンク

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


ABOUT ME
冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
記事URLをコピーしました