第88回『人を動かすルールをつくる 行動法学の冒険』2023年5月刊
冨田鋼一郎
有秋小春
久しぶりに意欲的でスケールの大きな経済書を手にした。人口動態という長期的視点とグローバルな視点で、世界が歴史的大転換点にあることを主張する。
これまで数十年続いたデフレ、低金利の時代は終わりを告げる。これからの世界は、世界的な高齢化と労働人口減少によりインフレ再来と不平等の縮小をもたらすと主張する。どんなロジックで?
本書が興味深いのは、「世界経済の今後を占う上で、日本が信頼できる青写真を提供する実験の場」であるとして、日本について多くのページを割いていること。
日本の経済学者先生はうつむきがちで元気がない。未来を見据えたオリジナルな主張を展開する人が見当たらない。寂しいことだ。