読書逍遥第201回 『21 Lessons』(その2)ユヴァル・ノア・ハラリ著
冨田鋼一郎
有秋小春
副題 17世紀オランダの「光と視覚」の革命
ローラ・スナイダー著
ものの見方を変えた二人、フェルメールとレーウェンフック
レンズの虜になって普段見ることのできない微細な世界を発見した立役者
世界は肉眼では見えないほどの小さな生物があらゆる所に満ち溢れていていること
世界は見かけ通りのものではないと言う認識が急速な勢いで広まった時期
普段の様々な現象の背後には、不可視の世界があるということに気づく
観察重視という点で、芸術家と科学者が合体したと言われる所以だ。
本書の指摘に以下のことを思った
芸術家は科学者よりも「個性」を大切にする点で、より人間的なのではないか
☆☆☆
「現実世界」と「想像世界」の探究
この発見は、あくまで「自然科学の話」、普遍的な事柄だけを追求する学問
しかし、人間の意識には現実世界に働く「知覚作用」だけでなく、非現実世界にも力を発揮する「想像力」を持っている
人間は、現実を離れて想像の世界(信仰・神話・ファンタジー・妖怪etc)に浸り、イメージを膨らませることができる
ことに優れた芸術家(画家、詩人、作家など)しかり
人には、他人がどう言おうと、「自分は○○を信じる」と言い切れるものが欲しい
その人の個性を形づくるものは、普遍的なものからは生まれない