読書逍遥

第2回「ルース・B・ギンズバーグ名言集 新しい時、新しい日がやってくる」

冨田鋼一郎

ルース・B・ギンズバーグ名言集

ルース・B・ギンズバーグ(1933-2020)は、亡くなるまで晩年の27年間米連邦最高裁判事を務め、リベラル派判事の代表的存在として活躍した。
「HERO.ICON.DISSENTER. RBG」「ノトーリアスRBG」の愛称で市民から熱狂的に慕われた。

名言をここにいくつか。

「自分にとって大切なことのために闘ってください。ただし、他の人が仲間に加わりたいと思うようなやりかたで。」

「平等をうたう最も偉大な声明は「独立宣言」の中にありますが、これは奴隷所有者によって書かれました。」

「最高裁判所には何人、女性判事がいれば十分か?」と訊かれることがあります。私の答えは「9人全員」です。」

「女性が真の平等を達成したと言えるのは、男性が次の世代を育てる責任をともに担えるようになった時です。」

「無意識の偏見は、その実態を掴むのが最も難しいことの一つだと思います。私が気に入っているのは、交響楽団の例です。子どもの頃、オーケストラには、女性の団員がいませんでした。オーディションの、審査員たちは、女性と男性の演奏に違いがあると思っていたからです。そこで、ある賢い人がシンプルな解決方法を考え出しました。それは、審査員と入団希望者の間にカーテンをかけることです。するとどうでしょう。女性も交響楽団に入れるようになったのです。」

ルースは法律家として、性差別をはじめあらゆる差別をなくし、自由と平等を実現することに情熱を燃やしながらも、公正な判断と他者に対する敬意を忘れなかった。

晩年妻が判事としての重要な仕事を果たせるよう夫マーティンは、料理をはじめ家事を積極的に担当した。常にユーモアを持って接したマーティンの存在は大きかった。

ルースを最高裁判事に任命したのは、クリントン大統領。これが彼の最初の仕事だった。

日本版では、各名言の背景や意図などの解説が加えられ、理解しやすい配慮がなされている。

混迷を深めるアメリカだが、このような人物がいることに、良心・健全さ、そして希望を見る。

何故か瀬戸内寂聴さんを思い浮かべながら楽しく読んだ。

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ABOUT ME
冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
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