第16回『複雑化の教育論』内田樹著
冨田鋼一郎
有秋小春
副題 生命と医療の本質を探る
原題 The Song of the Cell
An Exploration of Medicine and the New Human
先日の朝日「ひととき」に「81歳、解剖学に挑戦」とあった
81歳の女性が、「年齢が増すにつれて、健康への関心を強まってきた。解剖学・生理学を学ぶために近くの保健福祉系の大学に聴講生として入った」というのである
私も、健康と病、体の構造と機能、心と身体、病原体と感染、公衆衛生の観念、予防・治療など広く医学の分野の歴史について、もっと理解したい。知らないことが多すぎる
本書は、素人にもわかりやすい「細胞」を切り口にした格好の手引き書だ
帯文には「圧倒的な読後感!」とある。私も引き込まれてノートに書き留めながら読み進める。知らないことを学ぶのは、いつになっても面白い
今回は第三部「血液」について
血液とは、すべての組織に酸素と栄養を届けるため身体を縦横に張り巡らされた高速道路である
「輸血の歴史」が面白かった。動物からヒトへの輸血、四つの血液型、血液型適合性、1914年第一次世界大戦開戦と同時に行われたヒトからヒトへの安全な輸血
輸血と血液バンクと言う細胞治療は、第一次世界戦争の悲劇がもたらした最も重要な医学的遺産である
戦争の人類への唯一の贈り物は、安全な輸血方法が一気に広まったこと