読書逍遥

読書逍遥第170回 『エクストラライフ』スチーヴン・ジョンソン著 2021刊

冨田鋼一郎

『エクストラライフ』スチーヴン・ジョンソン著 2021刊

副題 なぜ100年間で寿命が54年も延びたのか

原題 EXTRA LIFE
A STORY OF LIVING LONGER

20世紀の人類の最大の勝利と言えば、寿命が極端に伸びたこと。平均寿命「プラス二万日」、貴重な贈り物だ。その原動力は一体なんだろう?

そこには、大勢の人々の一見地味な「死なない」ためのすばらしい発想と協力関係というイノベーションの連鎖を見て取ることができる。

本書は2021年、新型コロナのパンデミックの危機の中で書かれた。

寿命を伸ばしたブレイクスルーは、3つのレベルに分けられる。
①数百万の命を救ったイノベーション
②数億の命を救ったイノベーション
③数十億の命を救ったイノベーション「真の巨人」

このリストを見るだけで、人々の功績と積み重ねは偉大なものだと実感できる。

話題として取り上げられるテーマは広範にわたる。すべてが社会公衆衛生観念の向上に寄与した。

平均寿命、ワクチン、データと疫学、低温殺菌と塩素消毒、規制と試験、抗生物質、安全技術と規制、飢餓撲滅のための介入。

一つ一つのエピソードがドラマとなっていて、とても興味深い。

スポンサーリンク

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


ABOUT ME
冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
記事URLをコピーしました