読書逍遥第132回 『木枕の垢』(その1)安東次男著
冨田鋼一郎
有秋小春
副題 なぜ100年間で寿命が54年も延びたのか
原題 EXTRA LIFE
A STORY OF LIVING LONGER
20世紀の人類の最大の勝利と言えば、寿命が極端に伸びたこと。平均寿命「プラス二万日」、貴重な贈り物だ。その原動力は一体なんだろう?
そこには、大勢の人々の一見地味な「死なない」ためのすばらしい発想と協力関係というイノベーションの連鎖を見て取ることができる。
本書は2021年、新型コロナのパンデミックの危機の中で書かれた。
寿命を伸ばしたブレイクスルーは、3つのレベルに分けられる。
①数百万の命を救ったイノベーション
②数億の命を救ったイノベーション
③数十億の命を救ったイノベーション「真の巨人」
このリストを見るだけで、人々の功績と積み重ねは偉大なものだと実感できる。
話題として取り上げられるテーマは広範にわたる。すべてが社会公衆衛生観念の向上に寄与した。
平均寿命、ワクチン、データと疫学、低温殺菌と塩素消毒、規制と試験、抗生物質、安全技術と規制、飢餓撲滅のための介入。
一つ一つのエピソードがドラマとなっていて、とても興味深い。