読書逍遥

読書逍遥第162回 『はるかなる道』 1992刊森本哲郎著

冨田鋼一郎

『はるかなる道』 1992刊森本哲郎著

地球(世界)に張り巡らされた「道」について文明論を展開する。
裏表紙のアッピア街道の角がすり減った石だたみに目が惹きつけられる。著者撮影の写真多数掲載。

いつか今の小さくなった世界を「つながる」「かき混ぜる」の切り口で語れるようになりたい。

(冒頭)
人間の文明を作り出したのは、例外なく「道」であった。アレクサンダー帝国を出現させたのは、アレクサンダーがたどった東征の長い道のりであったし、ローマを生んだのも、すべてがそこへ通じる「道」だった。東西の文明を交流させたのは、絹の道、シルクロードであり、その道は同時に、仏教を運んだ宗教の足跡でもあったわけである。このように、「道」の果たした役割を挙げていけばキリがない。

(末文)
「道」は「未知」へと通じる。「道」とは未だ知られていない世界へ達したいと言う人間の意志の象徴と言ってもいい。

人間の文明をつくり出したのは、例外なく「道」であった。道は空間(地理)的にも、時間(歴史)的にも人間の生を貫く一本の糸なのである。

オアシス
桃源郷
新世界への航路
牛の歩みを追う
アレキサンダーの夢
人類最初の大公開
ヒマラヤの麓から
ブッダ・ロード
イメージの紀行奥の細道
ケルト人の軌跡
2万キロの伝道
すべてこれ玉関の情
シナイ彷徨
ハンニバルの挑戦
ある探検家の運命マンゴ・パーク
七不思議探訪
遠い故郷への挽歌フォスター
シェバの女の旅
すべての道はローマ’から’通ず

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ABOUT ME
冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
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