読書逍遥第256回『図書館には人がいないほうがいい』(その2) 内田樹著
冨田鋼一郎
有秋小春
地球(世界)に張り巡らされた「道」について文明論を展開する。
裏表紙のアッピア街道の角がすり減った石だたみに目が惹きつけられる。著者撮影の写真多数掲載。
いつか今の小さくなった世界を「つながる」「かき混ぜる」の切り口で語れるようになりたい。
(冒頭)
人間の文明を作り出したのは、例外なく「道」であった。アレクサンダー帝国を出現させたのは、アレクサンダーがたどった東征の長い道のりであったし、ローマを生んだのも、すべてがそこへ通じる「道」だった。東西の文明を交流させたのは、絹の道、シルクロードであり、その道は同時に、仏教を運んだ宗教の足跡でもあったわけである。このように、「道」の果たした役割を挙げていけばキリがない。
(末文)
「道」は「未知」へと通じる。「道」とは未だ知られていない世界へ達したいと言う人間の意志の象徴と言ってもいい。
人間の文明をつくり出したのは、例外なく「道」であった。道は空間(地理)的にも、時間(歴史)的にも人間の生を貫く一本の糸なのである。
オアシス
桃源郷
新世界への航路
牛の歩みを追う
アレキサンダーの夢
人類最初の大公開
ヒマラヤの麓から
ブッダ・ロード
イメージの紀行奥の細道
ケルト人の軌跡
2万キロの伝道
すべてこれ玉関の情
シナイ彷徨
ハンニバルの挑戦
ある探検家の運命マンゴ・パーク
七不思議探訪
遠い故郷への挽歌フォスター
シェバの女の旅
すべての道はローマ’から’通ず