読書逍遥第156回 『そして文明は歩む』1980 森本哲郎著
冨田鋼一郎
有秋小春
副題 モロッコ・スペイン領セウタの国家管理下の「密輸」
[著者略歴]
石灘早紀1990年生まれ。2021年、一橋大学大学院社会学研究科修了。専攻は国際社会学、モロッコ・スペイン領セウタ研究。
毎日新聞社記者、在モロッコ日本国大使館派遣員を経て、現在、国際開発コンサルティング会社勤務。
若手日本人研究者による珍しい本が出た。
セウタとメリリョの地名を聞いて、すぐ場所が思い当たる人は少ない。
セウタとメリリョは、モロッコの領土にあるスペインの飛び地。スペインからジブラルタル海峡の対岸にある。
モロッコから返還を求められているが、スペインが飛び地を固執する理由はなんだろう?
この飛び地は、曲がりなりにもEUに属する土地であるので、アフリカからの難民が命をかけて入り込もうとする。
合法でも違法でもない「密輸」の実態を現場から報告する。