読書逍遥

読書逍遥第155回 『HORISONS 科学文明の起源』(その6 最後)ジェイムズ・ポスケット著

冨田鋼一郎

『HORISONS 科学文明の起源』(その6 最後)ジェイムズ・ポスケット著

全世界(空間)と500年の世界史(時間)の三次元キャンバスに、壮大な人間のドラマを描き出してくれた科学史。
科学が、グローバル化とナショナリズムの相剋の中で強く影響を受けながら発展・停滞を繰り返す様子が見て取れる。

博物学、地図測量・作成、航海術、医学、薬学、天文学、数学に始まり、物理学、考古学、人類学、生物学、人種遺伝学、植物遺伝学、分子生物学、神経遺伝学、宇宙探査、生成AI、気候変動などなど。

世界中の科学者たちがどのような問題意識で解明に取り組んだかを、全体のピクチャーのなかに収まるように紹介している。

面白いことにジャック・アタリと同様、経済学についての記述は、ほとんど見当たらない。著者も、経済学を信頼に値する科学と見なしていないのではないかとさえ思われる。

今年最も読み応えのあった本。

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ABOUT ME
冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
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