読書逍遥第262回『嵯峨散歩、仙台・石巻』司馬遼太郎著
冨田鋼一郎
有秋小春
「その4」は「黒死病」を扱う「生き残りたち」の章から、ルネサンスのはじまり。
気候の変化。
1,000年頃から人口急増。農具、風車、水車、輪作で生産性向上と森林伐採、湿地排水による農地拡大で凌いできたがそれが限界に。火山活発化、大地震が襲った。
1,300年から1,850年は「小氷河期」にあたる。バルト海、テムズ川、コンスタンチノープル金角湾凍結。
14世紀半ばからの黒死病蔓延は深い傷を西洋社会を与えた。急激な人口減ももたらしたもの。
・鞭打ち苦行行進→神は怒っているので、神の怒りを宥めなければいけない。自傷を通して自らと人類の罪を償う。→完全隔離と反対の密でかえって感染拡大。
・労働力不足で賃金上昇と地代急落の破壊→土地に縛られていた農奴や都市部の貧民が激減し、人の労働価値が高まる。
・労働法強化の反動。地主と農奴、都市権力者と労働者とのせめぎ合いが続く。
農奴は生まれたときから土地に縛られ、結婚相続は領主の許可必要。黒死病後、労働法強化の動き。ワットタイラーの乱。
・既成権力に対抗する民衆の蜂起、反乱が各地で。
・教訓 民衆の力を侮ってはいけない。民衆の見方や関心を考慮しないと結局しっぺ返しをくう。長い紆余曲折を経て、人権意識が定着していく。
コロナパンデミックを体験した我々にとって、社会(世界)はどのように変質していくのか。
→100年単位だろうが、グローバルに人権意識が高まっていくはずだ。