読書逍遥

第86回『プランタ・サピエンス知的生命体としての植物』パコ・カルボ+ナタリー・ローレンス著

冨田鋼一郎

『プランタ・サピエンス知的生命体としての植物』パコ・カルボ+ナタリー・ローレンス著

今日の草花は、ニゲラと蒲公英の綿毛。一体誰がこんな形を思いついたのだろう。それぞれ独自に創意工夫したのか。

植物は脳を持たず、人間や動物のように動き回ることもできないが、人間とは異なる驚くべき内面世界があることが明らかになりつつある。

著者は、植物は動物と同じように知性があるのではないかという直感(思いつき)から研究を始めたという。

植物を他の動物やコンピュータ、人間の脳構造などと比較することで、植物のイメージを「声なき下等生物」から「プランタ・サピエンス(賢い植物)」に引き上げてみせる。

著者は世界で唯一植物の知性を専門に研究するスペインの科学哲学教授。いつか地球外生命体の探索でも役立つかもしれない。

世界ではすぐに役立つものでなくてもオリジナリティある研究が大事にされる。

理研や大学での雇い止めが問題になっている。目先の成果だけを求める日本の文教政策はますます余裕のないものになっている。

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ABOUT ME
冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
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