第70回『回顧録』署名本 ロバート・マクナマラ


『回顧録』ロバート・マクナマラ
‘In Retrospect’
著名人の回顧録が流行りだ。いつから始まったのだろう。最近は他人に書かせたと思われるものさえある。
今、期待しているのは、アンゲラ・メルケル。はたして書いてくれるのだろうか。
そんな中、ロバート・マクナマラ(1916-2009)の本書は異色。ベトナム戦争を国防長官として指揮した人物が自ら振り返って、あの戦争は大失敗(terribly wrong)だったと結論づけた。何度も撤退のチャンスがあったのに。歴史の証言としてどうしても書き残しておきたいという良心からのものだ。
人間の行動はいつも歴史の審判を受けているという意識は、JFKと共通するものだ。
読みどころは、最初の大統領選勝利後のケネディ第一次組閣時の入閣要請時のエピソード。フォード社社長就任間もない頃だ。
最初の電話コンタクトはロバートケネディだった。The presidet-elect would be grateful if you would meet with our brother-in-law, Sargent Shriver.
突然のアポ依頼、しかもいきなり当日午後4時。すでにデトロイトに来ているのだ。そこで伝達されたのが、入閣要請。「とんでもない」と断ると、
Well, the presidet-elect at least hopes you will give him the coutesy of agreeing to meet him tomorrow in Washigton.
とうとう会うことを承知せざるを得なくなる。電光石火とはこのことだ。
フォード会長に事情説明して、ワシントンで断ってきますと出かける。が、明日からの彼の人生は予想外の展開となる。
それからホワイトハウスヒッコリーヒルズセミナーの様子。学者先生を招いて閣僚ら夫妻らと話を聴く。JFKの周りにはアカデミックで知的な雰囲気があった。質疑になるとJFKの独壇場となったそうだ。’歴史のなかに自らを位置づけることが出来た’大統領だつた。
それからキューバ危機の13日間。そこでJFKとロバート司法長官の指導者としての資質が明らかにされる。
JFKにも退任後回顧録の計画があり、主要な会議などは録音していた。果たすことは出来なかったが、代わりにスピーチライターのセオドア・ソレンセンが『ケネディの道』という素晴らしい本を出してくれた。
ロバートから電話
シュライバーデトロイト派遣
財務長官
明日兄さんがワシントンで
国防学んだことがない
私も大統領学んだことがない
ヒッコリーヒルズセミナーのエピソード
著名人の回顧録がはやり
JFK の計画「僕たちの本」を書くこと
ABC放送とのもめごと
勇気ある人々執筆者をめぐる
電話取り継ぎ
代理署名
危機の13日間
ロバートの会議における指導者ぶりを垣間見る
ソレンセンスピーチライター