読書逍遥第212回 『オランダ紀行』(その1) 街道をゆく35 司馬遼太郎著
冨田鋼一郎
有秋小春
イギリスそして西洋文明をもっと知りたく思い、本書を手にした。
「一」の文明 ユダヤ・イスラム
「二」の文明 中国
「三」の文明 ヨーロッパ
「多」の文明 ギリシャ
「無(ゼロ)」の文明 インド
「よろず(万)」の文明 日本
文明とは、神々が競演する終わりのない壮大なドラマ。「人類の六つの文明の性格について」見取り図を書いてみよう。よくぞこんな「大それた」スケールの大きなテーマに取り組んでくれたものだ。
「もしあなたが砂漠へ行けないなら、自分の生活の中に『砂漠』をつくらねばならない。少しばかり砂漠をつくり、時々人との付き合いをはなれ、沈黙と祈りの中で、自分の魂を立て直すために孤独になることこそが必要である。」
第八章「時間を作った「一」の創造者」より
著者を突き動かしている思いは、グローバルに画一化しようとしている「現代文明」の未来だ。
「地球は一冊の書物だ」という「旅する思索者」、森本哲郎さんの面目躍如の一冊。