読書逍遥

第43回『そして文明は歩む』森本哲郎

冨田鋼一郎

『そして文明は歩む』森本哲郎

イギリスそして西洋文明をもっと知りたく思い、本書を手にした。

「一」の文明 ユダヤ・イスラム
「二」の文明 中国
「三」の文明 ヨーロッパ
「多」の文明 ギリシャ
「無(ゼロ)」の文明 インド
「よろず(万)」の文明 日本

文明とは、神々が競演する終わりのない壮大なドラマ。「人類の六つの文明の性格について」見取り図を書いてみよう。よくぞこんな「大それた」スケールの大きなテーマに取り組んでくれたものだ。

「もしあなたが砂漠へ行けないなら、自分の生活の中に『砂漠』をつくらねばならない。少しばかり砂漠をつくり、時々人との付き合いをはなれ、沈黙と祈りの中で、自分の魂を立て直すために孤独になることこそが必要である。」

第八章「時間を作った「一」の創造者」より

著者を突き動かしている思いは、グローバルに画一化しようとしている「現代文明」の未来だ。
「地球は一冊の書物だ」という「旅する思索者」、森本哲郎さんの面目躍如の一冊。

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ABOUT ME
冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
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