読書逍遥第270回『嵯峨散歩、仙台・石巻』(その9最後)
冨田鋼一郎
有秋小春
この読書逍遥のコーナーは、これまでの印象に残ったものを採り上げている。手にするのはこれが最後との思いもある。
副題:「雇われない生き方」は何を変えるか
原題:Free Agent Nation
〜The Future of Working for Yourself
出版は2002年。実に刺激的な本だった。目次の言葉からして魅惑的。例えば、
・組織人間の時代の終わり
・デジタルマルクス主義
・経済の「子供時代」の終焉
・仕事のポートフォリオと分散投資
・仕事と時間の曖昧な関係
・「自分サイズ」のライフスタイル
・互恵的な利他主義
・リタイアからeリタイアへ
・テイラーメイド主義の教育
・生活空間と仕事場の緩やかな融合
・個人が株式を発行する
・ジャストインタイム政治
などなど。
著者は、1964年生まれ。30代でロバート・ライシュ労働長官、アル・ゴア副大統領の主席スピーチライターを勤める。
その後フリーエージェント宣言し、文筆業に。
20年前にこの本を手にした時は、よくは分からないが未来社会を垣間見たような気がした。
今読み返してみると、日本社会が米国に20年遅れだが、着実にフリーエージェント化してきていることに気づく。
「ギグワーカー」という目新しい言葉も目にする。
21世紀は本当に激動の時代だ。
社会の仕組み、働き方、家族、教育、生きがい、娯楽、福祉、健康、医療、自己実現など、社会の一員として基本的な事柄についてアメリカ社会の動きは、未来の日本へのヒントがあるような気がする。