読書逍遥

第30回『フリーエージェント社会の到来』ダニエル・ピンク

冨田鋼一郎

『フリーエージェント社会の到来』ダニエル・ピンク

この読書逍遥のコーナーは、これまでの印象に残ったものを採り上げている。手にするのはこれが最後との思いもある。

副題:「雇われない生き方」は何を変えるか

原題:Free Agent Nation
〜The Future of Working for Yourself

出版は2002年。実に刺激的な本だった。目次の言葉からして魅惑的。例えば、
・組織人間の時代の終わり
・デジタルマルクス主義
・経済の「子供時代」の終焉
・仕事のポートフォリオと分散投資
・仕事と時間の曖昧な関係
・「自分サイズ」のライフスタイル
・互恵的な利他主義
・リタイアからeリタイアへ
・テイラーメイド主義の教育
・生活空間と仕事場の緩やかな融合
・個人が株式を発行する
・ジャストインタイム政治
などなど。

著者は、1964年生まれ。30代でロバート・ライシュ労働長官、アル・ゴア副大統領の主席スピーチライターを勤める。
その後フリーエージェント宣言し、文筆業に。

20年前にこの本を手にした時は、よくは分からないが未来社会を垣間見たような気がした。
今読み返してみると、日本社会が米国に20年遅れだが、着実にフリーエージェント化してきていることに気づく。
「ギグワーカー」という目新しい言葉も目にする。
21世紀は本当に激動の時代だ。

社会の仕組み、働き方、家族、教育、生きがい、娯楽、福祉、健康、医療、自己実現など、社会の一員として基本的な事柄についてアメリカ社会の動きは、未来の日本へのヒントがあるような気がする。

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ABOUT ME
冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
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