作品・本・人物紹介

スクリムショー

冨田鋼一郎
[ニゲラ]

マッコウクジラの歯に彫りつけた工芸品

19世紀の捕鯨全盛期には、乗船は3年から4年がかりとなる

船員の過酷な労働の合間の手慰みにつくった
海の男暮らしの無言の証言者

スクリムショーは、アメリカ人による唯一の伝統工芸品(除くインディアン)

JFKはスクリムショーのコレクター

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(wilipedia)

scrimshawスクリムショー
    ― 鯨捕りの芸術』

この時代の捕鯨船は、現代とは違って、いったん港を出ると2年から4年という長い歳月を経なければ母港へ戻ることはなかった

その理由は船倉一杯に鯨油が貯まらなければ帰港しなかったからです。一頭のクジラを捕らえたあと次のクジラを捕らえるまでに数ヶ月が過ぎることもあったようで、その間、あちこちの港に薪炭や水、あるいは食料の補給のために寄港することがあったにせよ、来る日も来る日も波に揺れる狭い船内で鯨との出会いを待つ毎日は、想像を絶する過酷なもので、何か気が紛れることをしていないとどうしようもなかった筈です。
だから航海中の船の中で唯一手に入るマッコウクジラの歯を材料にした彫り物が、捕鯨船の船員の手で作られるようになったのです。

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ABOUT ME
冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
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