新刊紹介『「ものづくり」のジェンダー格差』山崎明子著
副題 「フェミナイズされた手仕事の言質をめぐって」
手仕事にジェンダー格差を見る。面白い所に着目した労作!
手仕事をめぐる言説に隠されたジェンダー構造を明らかにする画期的研究。
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人々の関心を集めながらも、社会の傍流へ追いやられる手仕事がある。そんな「やりがいのあるものづくり」が奨励されるとき、その言説にはジェンダーの問題が潜んでいるのではないか。学校での家庭科、戦時下における針仕事の動員、戦後の手芸ブーム、伝統工芸における女性職人、刑務所での工芸品作りなど、趣味以上・労働未満の創作活動を支えている、フェミナイズ(女性化)する言説を探る。
「多くの女性化された創造活動は、それが「仕事」であっても、「家庭」と結びつけられやすく、またその語りは「楽しさ」や「やりがい」など、自己啓発的な言葉に満ちている。そして女性化された仕事は、今日、グローバルに組織されたものづくりの現場に広がっている。そこには、「女性」だけでなく、移民、女性化された男性、そしてその子どもたちも含まれ、家父長的な家族観がまだ強く、労働のための法やその準備のための教育が十分に確立していない社会では、こうした家父長的な構造を容易に利用できてしまうのだ。近代家族の中で女性たちが行ってきた仕事は、より女性化された人々に移譲され、消費者となった女性たちには移譲の現実が不可視化されている。この問題は、今を生きる私たちにとって、決して他人事ではないはずだ。」
目次)
序 言説の旅の始まり
第一章 万一のために手芸をせよ――近代手芸論
第二章 国益に供せよ――内職論
第三章 貴女は慰めになる――戦時下の手芸論
第四章 祈りを届けよ――千人針の表象
第五章 家庭は貴女の展覧会場――戦後手芸論
第六章 救世主は貴女だ――女職人論
第七章 社会の役に立たねば――刑務所の伝統工芸論
終章 言説のゆくえ
あとがき