晩秋の日脚は速い。あたりはすっかり暗くなった。
酒宴を終えて帰路につく。
酒楼「ひちりき屋」で借りた提灯に火が燃え移ってしまい、あわてて消そうとする崋山。
燃える提灯に「ひちりき」の文字が見える。
最後までハプニング続きだった。
崋山が紀行文(絵日記)を残してくれたおかげで、一行にとって今日は人生の中で数少ない忘れられない楽しい一日となった。
また、我々は当時の庶民の暮らしの一端を楽しむことができる。隔世の感だ。
折り帖には虫食いがあるが、幸い絵や文字部分に達していないので無事だった。
ABOUT ME
![冨田鋼一郎](https://yushukoharu.com/wp-content/uploads/2023/03/97d4d0b8e7c5d4d4ad99b91001d190b1-150x150.jpg)
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。
各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。
著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)