蕪村『安永三年春帖』挿絵版画十六枚
冨田鋼一郎
有秋小春
紀州白浜の奇観の名勝三段壁。日差しが強くなるこの季節、崖上から海を見下ろす。
光の描写を重視する光風会、梶原貫五の戦前の作品。
⭕️ 海手より日は照つけて山ざくら 蕪村
海上の朝日が光の束を投げかけるように強烈に照らしている。
三段壁(さんだんべき)
和歌山県白浜町にある自然景勝地。国の名勝指定。
梶原 貫五(1887-1959)
日本の洋画家。
福岡県出身。
1910年東京美術学校西洋画科に入学し、黒田清輝や藤島武二に師事。同年の光風会第3回展に「女」を出品、1916年第4回光風会展では初入選を果たす。1916年東京美術学校を卒業。
1917年光風会第5回展に「裸体」で今村奨励賞を受賞、1928年光風会々友、
1931年第光風会会員となる。
1916年第10回文展に「縁陰」「窓際」が初入選、第11回文展「想韻」、文展の後身である帝展は、1922年「九月の日」を出品以来毎年出品し、第5回「芽立ち頃」、第7回「赤い日」第17回展から招待、無鑑査出品の待遇となる。
幣原喜重郎、近衛文麿ほか貴族院議員など有名人の肖像画の制作が多い。