冨田鋼一郎
⭕️もの涼し春日の巫女の眼にほれた 子規
季語:涼し(夏)
子規(1867~1902)は、郷里松山と東京を何度か往復している。
初夏、道中で春日大社に立ち寄ったことがあったのだろう。巫女さんの涼しげな目元にちょっと惚れてしまった。
子規は、恋愛体験があったのだろうか。亡くなる直前の「渡辺のお嬢さん事件」は、印象的である。
あるいは蕪村の類似句から着想を得たものか。
蕪村句は乙女でなく、隣家の女房。その目元は「もの涼し」いどころかどこか妖艶で、蕪村のいわゆる妖怪趣味にグッと近づく。
○かはほりやむかひの女房こちを見る 蕪村
季語: かはほり(夏)
○酒を煮る家の女房ちよとほれた 蕪村
季語 酒煮(夏)
[河東碧梧桐箱書き短冊幅現物]
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![冨田鋼一郎](https://yushukoharu.com/wp-content/uploads/2023/03/97d4d0b8e7c5d4d4ad99b91001d190b1-150x150.jpg)
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。
各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。
著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)