読書逍遥

読書逍遥第160回 『ぼくの作文学校』森本哲郎著 1983刊

冨田鋼一郎

『ぼくの作文学校』森本哲郎著 1983刊

文章表現法についての本。

「学ぶとは何か」「インプットとアウトプット」「内言語と外言語」について思索に誘われる。

私の人生における<学び>には、三段階あったように見える。

第一線を離れてから私大教壇に立ち、68歳で漱石についての本を出した。どちらも初めての体験だった。

この二つの作業は、自分なりに「アウトプット」していることだと気づいた。

そう考えると、第一線で働いていたときも仕事で「アウトプット」していたと言えそうだ。

これに対して、学生時代は、与えられたことを詰め込むだけ。テストで記憶したことをそのまま吐き出した。一夜漬け、これが勉強だと勘違いしていた。

最近、インプットとアウトプットのバランスを上手にとる、ということを考えるようになった。

アウトプットの「語る」こと、「書く」ことを意識しながら、インプットの「聞く」こと、「読む」こと。この往復が、知識を本当に自分のものにすること、すなわち「学び」であると気がついた。

スポンサーリンク

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


ABOUT ME
冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
記事URLをコピーしました