読書逍遥

読書逍遥第137回 『ホスピスからの贈り物』横川善正著

冨田鋼一郎

『ホスピスからの贈り物』横川善正著

副題 イタリア発、アートとケアの物語

もてなしのアートに満ち溢れているイタリアのホスピス。「死はスイートなもの」という彼らの感覚。人生を丸ごと味わおうとするイタリア人の感性とはどのようなものだろうか。

アートで終末医療を彩るという美学やケアの思想を掘り下げて紹介するとともに、それを支える市民や地域共同体のあり方を克明に描く。

末文)

芸術と医術の距離は近づきつつあるが、アートとメディスンの関係はやはりまだ遠いことを、改めて実感する。医療の現場とわれわれ美術関係者が口にする「いのちのやりとり」の間には、まだ埋め難い隙間があることをみとめざるをえない。

☆☆☆

イギリスへの語学留学からイタリアのホスピスとの出会いへ。体験と思索から紡ぎ出した本。このような偶然の積み重ねで人生は彩られていく。

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ABOUT ME
冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
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