第40回『啓蒙の世紀と文明観』2004年弓削尚子著
冨田鋼一郎
有秋小春
2023年5月刊
原題 POWERS and THRONS:A New History of the Middle Ages (力と座)
「力」とは、権力、経済力、技術力、信仰の力、国力、自然の力。
「座」とは、王座、教皇座、その他統率者の座。
中世ヨーロッパにおいて「司令塔」(the commanding height)にいたのは誰なのか。力と座をめぐる相剋(せめぎあい)を切り口にして時代を奥行き深く描いた壮大な書。
上巻 「王と権力 」
下巻 「創造と革命」
20世紀を「市場と国家の相剋」という視点で人類を動かした力を描いた名著『市場対国家』(ダニエル・ヤーギン著)を思い出す。
中世ヨーロッパというと、封建的な暗い時代とみなしがちだ。明治時代の人々が江戸時代を「漆黒の夜明け前」とみなしたのと似ている。