「移民政策」について
ウガンダ女性を難民認定へ 国の敗訴確定 毎日新聞 2023年3月30日
これがニュースになるとは、日本は世界から半世紀も遅れている。
国は控訴しても、勝てるだけの展望が持てなかったのだろう。この女性は強制退去命令までの仮放免中。職にも付けず、行動制限のある不安定な状態で放置されていた。
ウィシュマさんの痛ましい事件も思い出す。出入国管理を巡るさまざまな悲劇を耳にするにつけ、社会の変化に政治が追いつかない事例がここにもある。人権意識は世界で高まっているのだ。
今回も移民問題から目を背けてきた政治に警鐘である。いつまで追い詰められて、嫌々ながら後追いをするつもりなのだろう。
国の形とはなにか。「いわゆる移民政策は取り扱わない」と目を背けて、逃げ続けてきた政治。何故わざわざ「いわゆる」などと付けるのだろう。うわべだけのウクライナ避難民受け入れで糊塗できるものではない。
国論を二分する大きな課題である「移民問題」。リーダーは覚悟を決めてアジェンダとして採り上げて、議論を尽くして取り組まなくてはいけない。遅れれば遅れるほど、矛盾が拡大する。多様性社会への本丸問題。これこそ百年の計だ。
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帰国すれば同性愛を理由に迫害の恐れがあるとして、アフリカ東部のウガンダから日本に逃れた30代女性が国に難民認定を求めた訴訟で、女性を難民と認めた大阪地裁判決が確定したことが地裁への取材で明らかになった。国が期限の29日までに控訴しなかった。出入国在留管理庁は今後、女性の難民認定の手続きを進めるとみられる。
女性の代理人を務める川崎真陽弁護士(大阪弁護士会)は取材に「判決は具体的な事実を積み重ねて難民認定しており、控訴しないのは当然だ。入管は早急に手続きを進めてほしい」と話した。母国での迫害を訴えた性的少数者(LGBTQなど)が司法判断を通じて難民認定されるのは初めてという。
出入国在留管理庁は「判決内容を前提として手続きを進めていきたい」としている。
女性は2020年2月、ブローカーから入手したパスポートで来日したが、大阪出入国在留管理局に収容された。難民申請したが不認定とされ、国外への強制退去処分も出た。現在は収容が一時的に免除される仮放免中で、関西地方で暮らしている。
3月15日の大阪地裁判決は、女性が17年に同性愛者であることを理由にウガンダで逮捕され、警察官から棒で殴られて負傷したと指摘。ウガンダは同性愛者への差別的意識が強く、女性が母国に強制送還されれば迫害の恐れがあるとして、国の難民不認定と国外退去の処分をいずれも取り消した。
ウガンダでは同性間の性行為は違法とされ、最も重い場合は終身刑になる。出入国在留管理庁は24日、難民条約上の難民に当たるかどうかを判断する際のポイントを整理した「難民該当性判断の手引」を公表し、迫害された性的少数者らも含まれ得ると明記された。入管によると、過去に性的少数者への迫害を理由に日本で難民認定された例は少なくとも3件ある。【山本康介】