杜撰なマイナンバー
冨田鋼一郎
有秋小春
ドキュメンタリー文学の最高傑作。
人間の尊敬とは。
「1986042612358」
これは、忘れることができない数字だ。
「チェルノブイリの祈り」は事故の10年後の1996年発表。
事故の意味を探るための理念と方法を持つために10年かかった。事実のなかから新しい世界観、新しい視点を引き出したい。これは「未来の物語」。
「わたしはチェルノブイリの本を書かずにはいられませんでした。ベラルーシはほかの世界の中に浮かぶチェルノブイリの孤島です。チェルノブイリは第三次世界大戦なのです。
しかし、わたしたちはそれが始まったことに気づきさえしませんでした。この戦争がどう展開し、人間や人間の本質になにが起き、国家が人間に対して恥知らずな振る舞いをする。こんなことを知ったのはわたしたちが最初なのです。
国家というものは自分の問題や政府を守ることだけに専念し、人間は歴史のなかに消えていくのです。革命や第二次世界大戦の中に一人ひとりの人間が消えてしまったように。だからこそ、個々の人間の記憶を残すことが大切なのです。」
「20110311144618」これも忘れることができない。
あれから25年後のフクシマによって、新たな「未来の物語」が日本でも繰り広げられている。
わたしたちはチェルノブイリ、フクシマから何を学んできたのだろう。未来の物語はそこから始まる。