モジャモジャとところ構わず
冨田鋼一郎
有秋小春
河合隼雄さんの言葉を読み返している。偉大な人物だつた。
彼は私の心の中に大きな幹となって棲みついている一人だ。折に触れて会話する。
ひとつ紹介したい。
随分と前のこと。バブルが崩壊した後のインタビュー記事。
記者からの質問、「これからの日本人はどうしたら幸せをつかむことができますか?」
河合さんは、「自分の物語を作るしか幸せは得られません」と断言した。
「これまでの終身雇用の時代は、皆でお神輿を担いでいれば、皆がそれなりの幸せを手に入れる事ができた。
これからは、そうはいかない。組織に頼ることなく、一人ひとりが自分の物語を作らなくては幸せを掴むことができなくなる」
「自分の物語」。この言葉は、深く心に刻み込まれた。
はたして自分の物語とは?どうしたら、そのキッカケを見つける事ができるのだろうか?
さらに、第一線を離れてからの残されている期間が伸びている。この時間は、人生のおまけではなく、二度目の自己発見のチャンスになる。
こんなことも言っておられる。
「長生きになり、降りて行こうと思うのに、もういっぺん登っていかなくてはいけない。
若い頃は、上を向いて、老いたら、もう降りて行こう。そして、私は私の世界(物語)を持つ。物語をつかめば、それが心の支えになる。こういうことが分かり出すとまたずっと上がってゆける。」
→「自分の物語が心の支えになる」とは、これでいいんだと、自己肯定感を得るという事だ。
「またずっと上がってゆける、、、」
こんな言葉に、すがりながら、励まされながら、日々試行錯誤している。