日々思うこと

渡辺崋山真木重郎兵衛定前(さだちか)宛

冨田鋼一郎

「地球図入り書簡」

昨日は海鼠わた(海鼠腸)沢山
いただき有難く御礼
申上候 御一笑一笑うす
ひきうた左ニ入御覧
申し候

 めぐり見たいは
 亜細亜に烏斯太羅へ
 亜弗利亜墨利加
 欧羅巴
 
地球図(両極で手を挙げている人物図)
       渡邉登
真木様

実に貴重な書簡が見つかった。

地球図に注目!
両極に両手を挙げた人がいる。引力を理解して、南極では人が逆さまになっている!

崋山は、オランダからもたらされた世界地図を食い入るように眺めていたはずだ。

江戸後期は、西洋からさまざまな情報が押し寄せてきた時代。「優しい旅人」渡辺崋山は、見知らぬ世界(西洋)にも強い好奇心を抱いた。

同藩の仲間に、諸外国を巡ってみたいと偽らない気持ちを吐露した。当時は鎖国時代、渡航を企てることは重罪だったことを考えると、いかに心を許す人への私信とはいえ、吐露することは少々軽はずみだつたかもしれない。

このようなことが積み重なって、ついに幕府から転覆を企てる危険分子と見なされるようになる。

スポンサーリンク

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


ABOUT ME
冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
記事URLをコピーしました