日々思うこと

春を待つ 田中冬二の詩「春」(1894~1980)

冨田鋼一郎

日の出がだいぶ早くなった。先週の雪跡があたりからすっかり消えた。河津桜のたよりが聞こえてくる。

この時期になると、思い出す詩がある。詩人田中冬二と言えば、このすぺいんささげの詩しか思い浮かばない。

ラジオで少年時代を過ごした私にとって、このゆったりと流れる時間は懐かしい。

夜コタツの部屋で集まって過ごす。柱時計の時刻を知らせるボーンボーンの音まで聞こえてくるようだ。

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すぺいんささげの鉢を
外へ出してねてもよい頃となりました

今夜から明日の朝にかけて
太平洋の沿岸は
暖い雨になるだろうと
海洋測候所は報じています

@@@@@@

道路新設予定地の脇で、朝日を浴びながら、鉢の草花に水遣りをしている男性がいた。
立ち止まり「いつも可愛い花をありがとうございます。写真を撮っていいですか?花の名前も教えてください」とお願いした。
「どうぞ、ご自由に! 白い方がラナンキュラス。赤いのがラックス。ラナンキュラスと同じキンポウゲ仲間です」

花の名前を心に刻む。

[ラナンキュラス]
[ラックス]

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ABOUT ME
冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
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