俳句鑑賞
冨田鋼一郎
有秋小春
日の出がだいぶ早くなった。先週の雪跡があたりからすっかり消えた。河津桜のたよりが聞こえてくる。
この時期になると、思い出す詩がある。詩人田中冬二と言えば、このすぺいんささげの詩しか思い浮かばない。
ラジオで少年時代を過ごした私にとって、このゆったりと流れる時間は懐かしい。
夜コタツの部屋で集まって過ごす。柱時計の時刻を知らせるボーンボーンの音まで聞こえてくるようだ。
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春
すぺいんささげの鉢を
外へ出してねてもよい頃となりました
今夜から明日の朝にかけて
太平洋の沿岸は
暖い雨になるだろうと
海洋測候所は報じています
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道路新設予定地の脇で、朝日を浴びながら、鉢の草花に水遣りをしている男性がいた。
立ち止まり「いつも可愛い花をありがとうございます。写真を撮っていいですか?花の名前も教えてください」とお願いした。
「どうぞ、ご自由に! 白い方がラナンキュラス。赤いのがラックス。ラナンキュラスと同じキンポウゲ仲間です」
花の名前を心に刻む。
[ラナンキュラス]
[ラックス]