チリ大規模火災相次ぐ
冨田鋼一郎
有秋小春
まさおなる空よりしだれざくらかな
一読、情景が目に浮かび、深呼吸したくなる。しだれ桜の根元から透かして空を見上げているのだ。駒込六義園入り口にも大樹がある。
この句のポイントは、抑揚とリズム感が非常に良いこと。声を出して読むとわかる。
masaonaru sorayori shidare zakurakana
「あ」音が適切な個所に9個も配置されている。巧まざる巧み。
彼の流麗な書体は、この句にピッタリ!
風生はこのような明るく平明な句が多い。草花を愛して、「植富(うえとみ)」のあだ名がある。
長い後半生を俳句に捧げた。句集からは、大きな波瀾もなく、穏やかな気持ちで生涯を貫いたことが窺われる。
「偉大なる平凡人」とは彼を評す言葉だが、平凡を貫くことはいかに大変なことか。「平凡人」とは最大級の賛辞だ。
今年も落合の牡丹寺、長谷寺薬王院に行くのをわすれないようにしよう。境内に風生の見事な牡丹の句碑がある。