第49回『長江・夢紀行』(上下) さだまさし
冨田鋼一郎
有秋小春
イギリス現首相、ボリス・ジョンソン(当時ロンドン市長)が、チャーチル没後50年(2015)を機に出版した。
彼は当時市長2期目、2012年ロンドン五輪を成功させ、国政に進出を狙う充電期だった。
未曾有の危機に直面したリーダーに求められる資質とは何か。
単なる伝記ものではなく、自らの肥やしになるものをチャーチルに探った。
ジョンソンの心の中で二人は対話を続けたことが伺える。
EU離脱を巡り、長く世論が分裂し、混迷を深める最中、彼は離脱に踏み切った。
国際社会のなかでの収まるべき自国の立ち位置とは?チャーチルから学んだことは多かっただろう。
今コロナ禍の国難、さらに離脱後のイギリスをどこに導いていくのか、今日的な問題意識のもとに執筆された優れた著述だ。
本書でユーラシア大陸の反対側の島国で起きたことを知って、我身に置き換え黙考したい。
カバーの有名な顔写真は、世界的肖像カメラマンのユーザフ・カーシュによるもの。
個人的なチャーチルとの思い出をひとつ。
大昔、日本橋三越でチャーチル油絵展を見た。
そのなかに小品「マグノリア(木蓮)」の乳白色の肉厚な花弁に見惚れてしまった。
彼の絵画は今億円単位だそうだ。
そろそろハクモクレンの季節が巡ってくる。