骨董品

竹内栖鳳「日稼」着色木版

冨田鋼一郎
サイズ:H41.0 x W17.0 (cm)
全体:H51.0 x 33.0 (cm)

大正6年作。

田中日佐夫は、『竹内栖鳳』(岩波書店)の口絵にこの着色木版画『日稼』を掲載して、次のように紹介した。

「画題は、炎暑に本願寺のお茶所で喉を潤す一稼婦を示す。疲れた表情は、顔などからも察しられ、夏の午後のけだるさがただよっているかのようである。発表当時の評は、あまりかんばしくなかった。原作は見失われている。このような精巧な木版が残っていることは不幸中の幸いというべきである」

この解説に付け加える言葉はない。
早朝から炎天下での野良仕事。汗をぬぐう姿からは、いかに腰を屈める農作業が単調でつらいものであるか。
ほんの一昔前までは(今も)、この汗が一家の暮らしを(そして社会を)支えてきたのだ。 

スポンサーリンク

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


ABOUT ME
冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
記事URLをコピーしました