東ドイツ記念通貨5マルク白銅 未使用ドイツ民主共和国20周年記念
冨田鋼一郎
有秋小春
紙本墨画
款記「寛延庚午画四明山人」
印 「四明山人」(朱文方印)
枯芝に満ちた見つけたり梅花 素旭
絵は、落款から20代後半から30代前半に過ごした結城下館時代のものと判明する。
寛延庚午は、寛延3年(1750)。蕪村が関東遊歴を引きあげて上洛する前年、35歳の画である。(賛句を除く)
宗匠頭巾を被り、頭陀袋を提げて、笠と竹杖を手に、どこかうつろな眼で俯き加減に歩を進める行脚僧。
これは芭蕉の行脚姿ではと言われているが、もしかしたら28歳で出家姿で行った奥州大行脚の自身の姿なのかもしれない。
賛句は素旭のものだが、師蕪村自身による染筆であるのは間違いない。生き生きとした力強い字だ。
「芭蕉行脚図」は、「安永三年春帖」(1774)に掲載された16枚の挿絵の原画一枚である。
落款記と賛句の字体の違いが25年の時の隔たりを告げる。
どうして25年も前に描いた画を安永三年春帖編纂に際して持ち出したのか。素旭とはいったい何者か。