骨董品

雛屋立圃筆「しな玉」句自画賛まくり

冨田鋼一郎
H82.0 x W25.6 (cm)

しな玉かその色かわる花の露 
立圃 印「松翁」

花見客でごった返す盛り場。奇術師がしな玉を器用にあやつっている。空に投げ上げたしな玉が花吹雪に紛れ込んでしまったようだ。あたかも桜花に染められた露のようだ。

和妻(わづま):日本において古来から主に口伝で受け継がれてきた伝統的な奇術の分野のことである。
手妻(てづま)、品玉(しなだま)と呼ばれることもある。
和妻に対して西洋の奇術のスタイルを洋妻(ようづま)ということがある。

野々口立圃(ののぐちりゅうほ1595-1669)

江戸初期の俳人。名は親重。別号、松翁。家業は人形の細工を業とし、雛屋と称したことも、或いは紅粉染めをおこない紅粉屋と称したともいう。俳諧を貞徳、連歌を猪苗代兼与、和歌を烏丸光広に学び、また書道を尊朝法親王、画を狩野探幽に学んだと伝える。自著に自画を挿んで俳句を賛することが多く、俳画の体をなすものが少なくない。元禄以後における俳画隆盛の端を発した。

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ABOUT ME
冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
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