白隠禅師筆「達磨図」自画賛
冨田鋼一郎
有秋小春
しな玉かその色かわる花の露
立圃 印「松翁」
花見客でごった返す盛り場。奇術師がしな玉を器用にあやつっている。空に投げ上げたしな玉が花吹雪に紛れ込んでしまったようだ。あたかも桜花に染められた露のようだ。
和妻(わづま):日本において古来から主に口伝で受け継がれてきた伝統的な奇術の分野のことである。
手妻(てづま)、品玉(しなだま)と呼ばれることもある。
和妻に対して西洋の奇術のスタイルを洋妻(ようづま)ということがある。
江戸初期の俳人。名は親重。別号、松翁。家業は人形の細工を業とし、雛屋と称したことも、或いは紅粉染めをおこない紅粉屋と称したともいう。俳諧を貞徳、連歌を猪苗代兼与、和歌を烏丸光広に学び、また書道を尊朝法親王、画を狩野探幽に学んだと伝える。自著に自画を挿んで俳句を賛することが多く、俳画の体をなすものが少なくない。元禄以後における俳画隆盛の端を発した。